─ 宿屋 ─
[息子はまだ帰ってきていないと言われると、そうか、と眉が若干落ちる。
見慣れていてようやく解る程度の表情の変化だが、宿の主にはフォルカーを案じているのが伝わっただろう。]
あ、でもさっき、フォルカーをみかけたぞ。
その、音がする前だが。
確か…ヘルムート、だったか。彼に話があるようだった。
多分、彼と一緒にいるんじゃないか。
[自分が離れてすぐ、ヘルムートに話しかけていたのを思い出し。
時間がどれほど経ったか解らないが、一緒にいなくても彼に聞けばフォルカーがどこにいるか解らないかと思ったのだが。
>>98イレーネ達が戻ってきたので、頭を下げて挨拶をした。
茶を注いだり坑夫に呼ばれたりの応対の方に忙しくなった主の邪魔にならぬように話はそこで中断となり。
オトフリートが子供を抱いているのを見れば、おや、と瞬きして。]
いつの間に子持ちになったんだ?
[思ったことをそのまま口に出した。]