―朝/宿屋/個室―[ゲルダが無事二人を迎えられたか気にしつつも、食堂を後にしたのは、無理はできないとゼルギウスが一番佳く判っていたからだ。薬が効いたのか、胸が痛むことなく貪る眠りの世界は、妻が傍に在るからか身体の状況に対して、酷く優しい。]んっ……イレーネ?―――……イレーネッ!?[そしてその優しい眠りから覚める切欠も、イレーネという存在。傍らにない温もりに気がつくと、名を呼び飛び起きる。]