[生い茂る草や落ちている枝を踏んで奏でられる音は消せやしない。相手には近付く気配も知られていようから、隠すのは諦めた。ザザザと揺らした茂みの先。頭に葉っぱを乗せて顔を突き出すと、髪を梳く女性と思しき姿があった]───あらあらあら、まぁまぁまぁ。[茂みから出てきた顔は瞳を円くして、真っ直ぐに相手の姿を捉える。続いて肩、腕、胴が茂みから現れて。トン、靴の底が軽く地を蹴った]