[男がこの邸を訪れたのは10代のこと。古ぼけた一通の手紙を携え、邸の主に面通しを願った。やがて、住み込みで働く事になり、今に至る。一度ソフィーに尋ねられた時、男はこう語った。] ―――母が昔アーヴァイン様と懇意にしていて、 ―――母宛の手紙を持って、亡くなった事を伝えに来たんだ。 ―――行くあてはなかったから、雇って貰って[片膝を抱えて、曲に耳を澄ませながら。]