[見れば、この寒さというのにマテウスの額には汗が浮かび>>87、左手を気にしているようだった]……マテウスさん、その手……[声は小さく、彼に届いたかどうか。僅かな時間に目に入った、それは、確かに朱の花の形をしていた。視線を巡らせればアーベルの姿。彼の顔色も悪く、左を……昨日見た、あの場所を気にしているようで]………まさか、『双花聖痕』……?[それは、古い歌に記された、神の……]お伽話じゃ、なかったのか………[声は小さいまま、誰かに聞き咎められたなら、なんでもない、と誤魔化すだろうけれど]