─ 回想/黒珊瑚亭・二階 ─
……きっつい、な。
[せめて、少しでも安らかに眠られると良いと、彼女の頭を緩く撫でる。
いつも刺繍をしている姿を見るばかりで、自分はあまり接することはなかったけれど。
そう考えて、彼女と親しい少女の姿が見えないのに気付き]
……ユー坊は?
[呆けたような声で問うたのに返る答えはあったか。
この場で返されなくても、主から自室に居る>>82と教えられただろう。
ゲルダの遺体を動かしたり何か手伝う事があるならばそれを為した後、ユーディットの部屋の前に向かい。
こちらにもかける言葉は思い至らず、こつりと扉を叩いて来訪だけを告げ。
部屋の中から声が返ればそれに応えて、無ければ小さく、ごめん、とだけ呟きを落として立ち去った**]