─ ギュンターの屋敷への道中 ─
あら、イヴァン。
お前もってことは、貴方も?
[振り向くと早足で向かってくる青年の姿が見えたので、こちらも歩く速さを緩め隣に並び歩くのを待って。
差し伸べられた手から頭一つ分以上高い顔を見上げると、先程自宅で男性に向けていた無表情とは正反対の表情で微笑み]
ありがとう、お願いできる?
重いものじゃないけれど、ちょっと嵩張って持ちにくくって。
小父様からの頼まれものだから、落としたりしたらどうしようって思ってたの。
[なんのてらいもなく包みを手渡すのは、相手がイヴァンだからだ。
子供の頃のお転婆も知っていて、婚約する前も後も変わらない数少ない相手だからこそ、素直にその厚意を受け取れるのだ、と彼は知っているかどうか]