[向かったのは自宅ではなく施療院。
カレンに兎の燻製と薬の原料の肝などを渡し、籠を手にアヤメの家へ飛ぶ。]
…………今夜はもう家から出るな。二人共だ。
術を使ったのなら疲労は深いだろう。きちんと休め。
……肝心な時に倒れたくないならばな。
[後回しにしていた小言をきっちり言ってから、口を噤む。
しばしの逡巡の後、切り出したのはオーフェンの事。]
………お前達と同じ様に倒れた子供がいたぞ。
深紅の瞳を縦に細くして飛び掛ってきた後、急激に力尽きた。
俺には判らんが、あれもお前達と同じ【力】を持つのかもしれん。一度話をしておくといい。
ああ、別に怪我などさせてないぞ。……俺にもない。
今はどうか知らんが、カレンと共にいたから大丈夫だろう。
[顰め面で立ち去り、小屋へと戻る。
逆に己が倒れては小言の意味がない為、残りの差し入れを腹に収め、ようやくまともな眠りについた。]