―3階/2階の階段付近へ―[ハインリヒの手を取って、少し落ち着きも取り戻した頃。ダーヴィッドから、ひとりの死を聞かされる。>>66まだ濡れたままの眼を見開いた。――白いいばらの花がひとつ、落ちる。]……―― うそ[ハインリヒは手を引いて呉れたろうか。階段の方へ向かう。白い石像と化した青年が其処にはいたろう。その頸には石化を抑制するバンドがない、――イレーネのときと同じだ。憤りを壁にぶつける、人好きのする笑みを浮かべるやさしい青年は最早動かない]