─夜/カルメンの部屋─[部屋の隅で扉をノックする音と声を聞く。未完成の人形に顔を埋めたまま、ピクリと僅かに反応したが、声を返すまでは至らず。そのままにしていたら、扉の開く音が聞こえた。顔を上げるのも億劫で、部屋の隅で動こうとはしない][直接声をかけられたなら、ようやくゆるりと顔を持ち上げることになるか。その表情は呆とした、感情の籠らないものだった*ことだろう*]