……あれ?
[気が付いた小さな違和。
自分と同じ綴りで名を書く薔薇の枝に、この時期にはないはずのものが見えた気がして。
一つ瞬いて窓辺に寄り、目を凝らそうとした所に、ライヒアルトが戻って来た。>>101]
……あ、侍祭さん。
[呼びかけたきり、言葉は途切れる。
いつもなら、何があったかすぐに問うだろうけれど、それも出来なくて。
祖父から話があるらしい事と、ユリアンの席の事を聞かされたなら、わかりました、と頷いた]
あ、薬湯も煎じないと。
[病の具合を診て、薬を煎じる。
そんな当たり前をする事で、なんとか意識を日常に向けていよう、否、向けていたいと。
それが叶わないと知るのは、もう少しだけ先の事だが]