……我は極光の地に住まいし、『敏捷なる者達』の一。
今宵、舞を奉ずる命を受け。
月と空と数多の界へと舞を捧ぐ者。
妙なる楽の調べと共に、皆様、しばしのお付き合いを。
[まずは、壇上の女王と王に丁寧な一礼を。
それから、集まる者たちへと礼をしながら口上を述べ。
ひら、と振る手で楽師に合図を投げた後、ゆるり、月下で動き出す。
しゃら、と鳴るのは鈴と腕輪。
翻るのは、黒と銀の飾り帯。
風に流れる金の髪、その軌跡、追うよに散るのは白金の光。
始める前の悪態ぶりはどこへやら。
いざ、始まったなら、やはり舞手としての意識が強くなるのか。
黒と銀、そして金の揺らめく回転の後、たん、っと高く足を踏み鳴らし。
す、と天へと向けて手を差し上げる表情は、物凄く楽しげなものだった]