……ん。
[表向きの肩書きではあるものの、楽士の名に違わぬ技量と素養は持ち合わす身、枝葉の立てる音>>106を捉えるのは比較的速い。
知らぬ気配が近くにある、と。
それと感じて、一度手を止めるが。
特に強い害意らしきものを感じなかった事と、警戒心の中核を為す『魔』の部分が緩いせいか、それとも素の気質が出ているせいか。
そこからどうするか、の思考への発展はいつもよりも遅かく、結果]
……ぇ……?
[聞こえた声に、惚けた声を上げて振り返ったときには、伸ばされた手>>108はかなり近く]
って、わっ…………や、だっ!
[素の状態の声を上げて後ろへ飛びずさろうとして、態勢を崩し]
あ、わわっ……。
[後ろに向けて、思いっきり。こけた]