[それが変わったのは半年程経った頃だっただろうか。懲りずにこっそり部屋を抜け出した自分は、近くの森まで足を延ばして、案の定迷子に成ったのだ。][道を失えば途端に一人取り残された気に成った。怖くて怖くて堪らなくて――その時、クレメンスの声が聞こえたのだ。迎えに来てくれたのだと気付いた時には泣いていた。クレメンスは如何したのだったか。兎に角、酷く、怒られたが。唯、それが保父としての責任感が理由であれ、とても嬉しかったことを覚えている。][その翌朝、クレメンスを父と呼んで固まらせたのだった。]