― 昨夜/宿屋 ―[部屋に戻ろうと二階廊下を歩んでいた時のこと。アーベルが部屋の扉越しにカルメンの名を呼ぶ声が聞こえて。>>103] …アーベル君、どうしたんだい、何かあったの?[丁度開ける頃合いだったのか、娘も中を覗う様子で。恐る恐る開けた扉の向こうは――鉄錆の匂い] ………!! カルメンさん…? [厭な予感がして名を呼べど返事は無く人影が二つある事に気がつき部屋の隅に佇んて居た少年の姿を見て、] ……ミハエル、君?[呆けた表情で、娘は少年の名を紡いだ*]