─ 渡り廊下 ─
[道具を手に戻った頃にはもう、団長の骸はなかった。
残されたのは団長の身体から流れ出た紅いいろ。
布巾を濡らし、固く絞って、端の方から擦ってみたが、なかなかいろは落ちてくれなかった]
こんなに落ちないものなのですね…。
[血を落とす機会などそう多くはないため、擦り落とすのも一苦労で。
アーベルが戻ってくる頃になっても、ほとんど進みはしなかった。
床に染み込む前の余分な量は何とか拭き取れたはずだ]
すみません、アーベルさん。
後はお願いします。
[管理人の時も掃除をしたアーベルなら綺麗に出来るだろう、と。
申し訳無さそうにしながら交代を願った]