―前日/外―
[屋敷を出て、男は橋のあった場所へ向かった。
赤い布がはためく向こう岸を見遣り、目を細める。そこには少しだが変化があり]
ふむ……誰やら気づいたらしい。
しかし、到底間に合いそうにはないな。
[男は小さく頷く。
気づいたのがつい最近の事なのか、何かの妨害にあったのかは定かではないが、向こう岸に積まれている資材は未だごく僅か。
更にここから橋を掛けるとなれば、1日2日では当然終わらないだろう]
…… ともかく。
気づいたのであれば、これの役目はもう終わりだ。
[そうして血のように真っ赤な目印は、男の手によって回収された]