―宿一階―
[ヘルムートが死んだ後のリーゼロッテはどんな様子だったろう。
その死を悼んではいる、と思うのだが、それほど親しくないゆえに、今の状態でどう声をかけるべきか悩む。
それでも聞かなければならないから声を発して]
リーゼロッテ、アンタは誰を疑う?
ここまで減った中で、疑えるものは限られているしね。
[ヘルムートの死のことは避けて問いかけた。
その答えはどうだったか。問い返されれば軽く肩をすくめて]
だから疑いを晴らすために声をかけてるんじゃないかい。
[端的に、友人の死を悲しんでいるだろう相手を疑っていることを告げて。
あとは相手の返事を待つ間がながれた]