[ゼルマは棺の準備を終えたドミニクとともにアルベリヒを棺に納めます。
昨日と同じく、すきまの多く残る棺でした。]
ドミニク、あたしの知っている話もしておくわ。
人に化ける獣の話はホラントが噂話を出すよりもずっと昔、まだ先代の牧師様の時代にも流れたことがあったの。
神罰で人が獣の姿に変えられてしまうことがあった。その者たちの一部が悪魔にそそのかされて道を踏み外した。昼間は人間の姿に戻ることができるけど夜になると元の獣の姿にやはり戻ってしまったのだと。
もし、あたしに何かあればこの話は役にたつかもしれないわ。
[ドミニクはそう付け加えるのでした。]