― 図書館 ―
[書庫の外は、読書のための小部屋が連なっている。書庫に保管された本は、自由に持ち出せるものではなく、司書の手を介して希望するものに貸し出され、この小部屋で読むことになっていた。持って帰ることは出来ないが、内容を書き写すことは自由。数日かけて丸ごと一冊書き写していく者も居ないではない。ちなみに司書はここに住んでいるから、一年中図書館は開いている]
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[しかし昼間は働く者の方が多く、今の時間に図書館への客は少ない。男はくちゃくちゃと口を動かしながら、読書室から建物の外へと通じる扉を開けた]