─ 三階・自室 ─[眠ってしまうつもりはなかったけれど、あらゆる意味で疲労していた心身は休息を求めていたようで。いつの間にか、浅い眠りに落ちていた。眠りが導く淡い夢の中に響いていたのは歌う声。既にない父が教えてくれたもの]……ん……。[歌が消えるのに合わせるように眠りは途切れ、少年はもそり、と身を起こす。黒猫が、案ずるようににぃ、と鳴くのには答えず。寝間着のままだった事に気づくと一先ずちゃんと着替え、改めて上着を着込んで部屋を出た]