[防御に入るイレーネを視界の隅に止めつつ、水晶龍に力を沿わせる。
降下する水晶龍の爪、それに絡みつくよに構築される、茨]
……何っ!? くっ……!
[水晶の如き真白の鱗の上を茨が走る。
同調しているが故の痛みに短く声を上げつつも、呪を紡いだ]
界と我を結びし我が盟友、我が意にそいて、散れ!
異界龍・散!
[完全な回避のために、異空へ戻している余裕はない。
ならば、と取った手段は異界龍自身を複数に分裂させる技。
本来ならばその後、複数へと攻撃するための技なのだが、今は、自身もやや後退しつつ、五体に分裂した水晶龍も下がらせる]
……そろそろ、大技、仕掛けてみる……か?
[小さな声で呟きながら、『魔本』に魔力を集中してゆく]