―湖畔エリア―
[ティルの五感のうちのどれが重視されているか、などは流石に把握しきれず。
ともあれ隙をつける形とはなったが、触れる前に、今度は地面に逃げられた。
追えば風船のように逃げてつかみ所がない。
氷竜が言っていた一定時間は、あとどれくらい残っているのやら。
背の羽根は仕舞わずに、そのままこちらも地面へとおり、うるうると低く唸る。
魔力を温存し、相手の出方を待つ、という案は、思いついた傍から却下した。向こうがその間に空間転移でもしたら意味がない。
連続して突撃するしかないと腹をくくると、再び低く唸りをあげ呪を紡ぐ。
と同時に、今度はティルに向かって走り出した。呪文はまだ完成させず、放たないまま。]