[実験室の水道を捻り、水を汲んで戻って来る。
改めてみる血色のわるい皮膚。閉じられたままの目蓋。隠される事無く露出している首輪の数値は29%。]
ダーヴィッド──私は、
──なすべきことは、多くあるが。
多くの為に一人を犠牲に、ではなく。
目の前の一人だけを救おうとする選択も
あるのかもしれないと思った。
この手でお前のバンドを切るかわりに。
お前がそれを望み、満たされるなら。
お前の手で、私が石になっても構わない。
[留め具を失い、襟元がはだけたままのシャツ。自身の首輪に触れながら言う。
まだ解析装置の画面には、ペルセウスが映ったままだった。
隣に座り直し、グラスに一番近い形状のビーカーを朦朧としている相手の口元に運ぼうとする。手元が震えた。]