―玄関外―[玄関を出て、右手に少し進んだ場所。そこが自衛団の監視ポイントから死角になるというのは、狙ったわけでなくたまたまそうなっただけのことだった]なんてあまい。ぜんぜん、ちがうね。[酔ったコエは一部空気も震わせ声となった。白の上にも流れる緋色を舐めながら、黒狼はうっそりと笑う]これが、極上の。……ふぅっ。[優しい腕も温もりも、この時は脳裏の端に追いやられて。裡から湧き上がる衝動に身を委ねて、酔い痴れて]