─ 屋敷の裏手 ─
[意識のない人間を抱き起こすのは難しかった。自分は腕力がある方でもないし、恐怖で力もあまり入らなくて。
そんな時だったか、背後からかけられた声にビクッと振り向く。]
あ……クロ、エ。
[自分にとって唯一に近い友人の姿>>107を見留めると、青ざめ強張っていた表情が一転、今にも泣き出しそうな顔になる。]
う、うん。うん……。
[落ち着かせようとするかのような呼びかけに頷き、彼女と一緒にベアトリーチェを抱き起こす。
そして少しだけ落ち着きを取り戻して、ようやく少女の身体が熱いこと>>100に気づく。]
ベアトリーチェ……熱い? こんなに寒いのに……。