[静かに紡ぐ様子は、やはり、冷静さを失しておらず。状況を、粛々と受け入れているかの様。それを指摘されたとしても、未だ無自覚の事について説明する事はできぬのだが]……立てるか?[それでも、案ずるように問いかけながらエーリッヒに手を差し伸べる様子はいつもと変わらぬもの。手は取られたか、否か。いずれにしろ、エーリッヒが動けるようなら、集会場へと取って返す。道中、常ならば一度は胸元へと伸びているであろう右手は隠された十字架に触れる事はなく、ただ、緩く握られたままだった]