―玄関外―クレム、に。[兄とはもう呼べなかった。抱き起こした首筋と胸に残る虚ろを作ったのは己だから。自衛団長をそうしたのと同じように。震えながら跪いて腕を伸ばす。黒衣は緋色に染まってもあまり目立たない。ただ物言わぬ骸を抱きしめて、誰かが来るまでその場に蹲り続けた。深緑は昏く沈んで。何か指示されれば、まるで被害者のようにも見える動きで従う*だろう*]