[ミサを終えると、ベアトリーチェはぱたぱたとクレメンスのもとに走ってゆき、にこりと微笑って挨拶をします。] クレメンス、お早う。[内緒の話があるのだと云えば、告解室に連れて行かれたかもしれません。ともかく、クレメンスには、いつもより不思議な感じが強くありました。その手には古そうな聖書があったものですから、それのせいだろうかとちらり考えました。 ベアトリーチェは『鍵の書』について訊ねたのですが、クレメンスからは他の皆と話したときのような答えしか、*返ってこなかったでしょうか。*]