―宿屋―平等……は、きっと難しいことだね。[佳く判らないと云ったままライヒアルトに首を傾げ彼が助けを求める己の妻を見る。]うん。だけど、あんな風になる子が狼な訳ない……―――。それに、君も狼じゃないのは、私は識ってるもの。[慰めるような言葉をくれる妻に語る言の葉。それは遠まわしに、ユリアンの疑問に答えるようで答えていないもの。紅はまた、ユラユラと揺れはじめ……―――。]