― 二日目/夜 ―[五号室の寝台に座り、男は盛大に溜息を吐いた。父から教えられたまじない。母を守るためにあった其れ。細工師であった父が作ったであろうアミュレットには銀製の枝葉に珊瑚で出来たローズマリーの花が咲く]――…。[指の腹にのる程度の小さなアミュレットを掌に置きじ、と見詰めて、それから思案するように目を閉じる]守りたいものは沢山あるのに……なんで全部守れないんだろうな。[ゆるり首を振り再び目をあけ前を見据えた]