真実を知ったのに、それで、虚実には浸れない。
忘れるって、どうやって。
[精神を集中させる分、余計に動きは遅れる。
立ち上がるも、向かい来る翼から逃れられぬと悟れば、ベルトから鞘ごと外した小刀を縦にして打ち合わせる。短いそれでは、受け切れるかは怪しい。違えば、斬り裂かれる。恐怖心が過ぎった。]
飛んだって、墜ちるんだ。
勇気を抱いて飛んだんじゃない、無謀だったんじゃないの?
それほどに強い意志があるのなら、証明してみせて。
墜ちる恐怖を知っても、翼を一度失っても、飛び立とうと思えるか!
[横へと受け流して、身体を捻り、距離を置く。
じゃらり――揺れる玉。]
ひふみよいむなやここのたり
ふるべ ゆらゆらとふるべ……!
[再度紡ぐ唄は、呪詛のようでもあり。]
[赤の輝きは強まり]<炎は昼の太陽の如くに盛る>