―客間・回想―[窓の外に人影は見えなかった。其れでも不安は消えることが無い]『監視下から外れられるのは困るのだよ』『始末出来てしまえば早いのに』[黒服の男達の声が甦る。連れ込まれた時に捩られた腕が痛い]『機を図ってお逃げなさい』[母のこえに従って夜会から逃げ出した。如何すれば好いのか分からぬまま衝動に突き動かされるまま飛び出したが斯うして捕まってしまった。逃げなければ。逃げなければ。逃げなければ・・・・・・]