―聖堂外―
[イレーネの声>>122が聖堂の中から聞こえる。
一度扉の方に目を向けるが、思いなおし辺りを見回す。
雪に覆われた景色、道さえも白く塗りつぶされて見えた。
マテウスの声>>127に驚いたように肩を縮める。]
団長さんが来る、の?
[自衛団員である彼の人が団長を待つ事態、と頭を過ぎった。
後で教える、と言葉を重ねられると、漸く了承するように頷くけれど
不意に吹いた風が髪を浚い、衣服をはためかせた。
その音と似た音が、上の方から聞こえて、女は誘われるように見上げる。]
な、に ?
[屋根にある十字架のシルエットがいつもと違う。
雪に弾かれた陽光が眩しくて、目を凝らしたところで
それが人の形であることに気付いた。]