行くよっ、美結!
[聞こえるように声を張り上げ、苦無を放つ。
不安定な体勢から当てずっぽうのように空を飛んだ2本は、突如軌道を曲げ、光を帯びて美結へ向かう。
1本は彼女の斜め上から肩を切り裂こうと、1本は下から回り込んで弧を描き太腿を刺そうと。
さぁ、どう守る?
貴女が何か行動を起こそうとする時、
私は、動く。]
――、
[土魔法であれ風魔法であれ。
彼女の視界や意識は多少割かれるだろう、と。
苦無を追うように壁を蹴り落ちる。
とん、と音が届く頃にはもう地上を駆けて。
途中、風に弾かれた苦無1本を拾いあげると、互いの間合いの混ざるところへと迫っていった。*]