[気狂いにならずに済んだのは、どこかでこうなる事を予感していたからだろう。昨日刺繍師の娘と話していた事。人狼よりも恐ろしい事。疑い合い殺し合う人間が恐ろしいと思った。でもそれよりも、もっと恐れている事が、真っ先に起ってしまい。ライヒアルトの声に、よろめきながら立ち上がる。背はいつもよりも丸くなり、老女は一気に小さく老け込んでしまったようだった。]