─ 厨房 ─
[自分が保護され、ここに住まう事が決まって。
それと入れ違うように自立して行った、老尼僧の養い子。
彼女が訪れる際は理由をつけてどこかに引きこもり、老尼僧との時間を邪魔すまいとしていたから、直接言葉を交わした機会はそう多くない。
それでも、遠目に見る二人の様子は、本当に仲が良くて。
積み重ねた時間の長さを思えば、今起きた出来事が彼女に齎すものは薄っすらとだが察しがついた]
……なん、で。
こんなことに、なる。
[ぽつり、と紡ぐ声はやや掠れがち。
何が原因でこうなったのか、それを知りたいという気持ちはごく自然に浮かぶものの。
それと同じくらい、知りたくない、という気持ちもどこかに存在していた]