そういう事です。
――…喧嘩を売る相手を間違えましたね。
僕は、降りかかる火の粉は全力で払う主義ですので。
[物騒で結構ですよ。
頬へ薄く線を描いた紅から一筋滴るそれを、ちろりと舌で掬い舐める。
口の中へと広がる鉄の味。親指で、強く拭う。
――…嗚呼、]
…そろそろ、終わらせません?
[相手を見据える瞳は、細く――何処か、冷やかに。
ニィ、と。笑みが深まると共に、漆黒が、掌の中で三度形を変えた。
手の中で細く伸びた漆黒が、弓状へと姿を成て。
ギリ、と引き絞る。
――その切っ先を相手へと真直ぐに狙いを定め]