[それでも幸か不幸か、ロランは死ななかった。
胸元に白い花を根っこごと抱えて倒れているのを見つけられた。
見捨てたのに、生きていた息子。
生きていたのに、両足の自由を失くした息子。
そんなロランを置いて、両親は逃げるように村を出た。
それでも祖父が亡くなるまでは面倒をみてくれたし、
カチューシャが届けてくれる料理は美味しい。
他の村人たちだって優しいし、――不満なんてない。
それでも、その話を笑ってする事が出来る程、
ロランは大人にはなる事は出来ず――]
…
[幼馴染達に気を使わせているのは、判って居るのに。
これは甘えだと、自覚もしている]