― 自宅 ―
よっし、これで春までは持つかな。
お父さん、配達いってくるねー。
[各種薬物を籠にめいっぱい詰め込んで、病床の父親に声を掛ける。
苦労をかけてすまないねぇ、などとありがちな台詞を吐く父親に、苦笑いを浮かべて]
お義母さんと仲良くするのもいいけど、自分の身体の事考えてよね。
村の人たちにお父さんのぎっくり腰の原因聞かれたら、あたしとお義母さんが困るんだから。
[確かに、先日父と一緒に訪れたお屋敷のベアトリーチェを撫で回しながら、こんな可愛い妹か弟がいたらなぁ――などと口走ってしまったのは自分である。
だがまさか、それをかなえようと励んだ挙句に、ベッドの中でぎっくり腰になったなど、他人に言えるはずがない。
隣の建物でお仕事中の義母にも一声掛けてから。
村の各ご家庭を回って、置き薬の在庫チェックと補充をして回った後、最後にギュンターさんのお屋敷にも向かうのだった]