―朝/玄関外―[自衛団にはあまり近付かぬように言われたのを覚えている。外に出れば自衛団員に咎められるだろうか。それでも義兄の行方が気になり足は外へと向いた。玄関から外に出れば冷たい空気が肌を刺す。微かな風が運ぶのは冷たさだけではなく鉄錆にも似た匂い。それは右の方から流れてきていた]――…これ、って。[何の匂いだっただろう。考えてはいけない。其方に行ってはダメ。頭の片隅で警鐘が鳴り響いているのに女は匂いのする方向へと歩み探し人を見つけてしまう]