[イヴァン>>101が振り向くまでには間があった。
それまで彼がどんな顔をしていたのかは判らない。
けれど向けられた表情は陰りないものに見えたから
苦笑いのまま、それでも声音は明るく努めた。]
いいや、勝手に、だなんて――。
今日君に見せようと思って、持ってきてたんだから。
……もう料理を教われないのは、残念だけれど。
[小さな後悔を添えてから、一度口を閉ざす。
陰りないと思っていた彼の瞳に滲むものが見えてしまった。
そんな顔をしないで、と言い掛けて――。
悲しんだり惜しんだりして貰えるなら嬉しくもあって。
浮かべてしまった苦笑は複雑なものだった。]