[女は椅子に座ったまま、顔を覆う。
紅茶のカップは既に空だった。]
…最初から、この心算で泊まれって言ったんだ。
[自分達の中に管理人を殺した紅の月の者がいるという嫌疑がかかっているのだ。
――そっと息を吐き出して、辺りを見回す。
有り得ない。
この中にいるわけがない。
けれど無実の証拠を見つける事は、有罪である証拠を探すよりも難しいのだ。]
リディ、平気?
辛かったら、貴女も休んだ方が良いよ。
[視界に入った彼女はどうしていたか。
女はそっと傍に寄りながら声をかける。]
一人でいたくなかったら、誰かと一緒にいなね。
[このような状況で何方が落ち着くかは分からない。]