[水が蒸発しても、力の主導権を奪うのは、やめない。
行使の仕方はわかっていたから、ニキータの操る力を引き寄せるのは簡単に出来る。
彼が持て余す分、根こそぎ奪ってしまうつもり。
本来ならば、普段から慣れた力が失われてゆく場所でやるようなものではないと、そんなことくらい理解はしていた]
――っ、
出来る、から、手出ししないでくださ…い!
[声は、水のない今、いつものようなしゃがれた音だけ。
慣れない強い力に、それでもグレゴリーと、ウートラへと視線は一度ずつ、飛ばして。
力を、手元に、引き寄せる。
ベルナルトとキリルを襲ったのとおなじ、食らおうとする木の力は、場所が離れても強い。一人、木の中に取り込むことくらい、簡単にできるだろうくらい。
――そしてそれは、手元に引き寄せることで自分を危険にするとわかったうえで]