[ベルナルトの身が人のそれであると判るのは、
死の香り知る者と、本物の人狼たちくらいかもしれない。
香に中てられずとも、己が人狼でないと確信できなかった。
「綺麗な髪」を意識する度、そんな不安が過っていた。
それでも結局、ずっと何処かで求めていたのは――。]
イヴァン。
やっぱり、僕は綺麗に見えるかい。
[さっき彼の指先が、物言わぬ骸の髪に
伸びていたのもまた、見えていたから。
何時か長い髪に向けられた眩しげな表情も、
それに気づいた己への瞳の揺らぎも忘れていなかったから。]
触っても、好いよ。
幽霊が幽霊に触れられるか、判らないけれど――。
[髪を撫でて欲しい、と素直には言わないまま。
イヴァンの手を己の髪に促そうと、彼に手を伸ばした。**]