[イレーネの呟き>>134が聞こえて彼女の方を振り返る。
眉尻が下がるのは、少女にそのような事を言わせた切欠が
仇という響きから己の言葉であったと知れるから。]
――…、マテウスさんは
イレーネちゃんにそんな事させたくないはず。
無事だけを望んでいると思う。
親って、そういうもの、でしょ。
[たぶん、きっと。
本当の親は知らないから浮かんだのは老尼僧。
ぽつぽつと零していると、
玄関脇に投げ出された鉄製のスコップに気付く。
雪かきの為に持ち出されたものだろう。
考えるように首を傾げて、拾い、玄関の傍の壁に立てかけた。]