[夫、メーフィエはとても軟弱者だった。一見、イライダの尻に敷かれていた。
二人、どちらもなれそめを語ったことはないけれど、彼女は彼が良いのだと語ることはあった。
どうしてそんな男をと言われたことがある、とも。
言われても怒りはしないが、好きだから以上のことは答えようとしなかった。
此処に来てから、野菜を作ることを学び、最初は腰を痛めた。
猟の体験を願い、銃の重さに筋肉痛になった。ついでに撃てなかった。
ただ一年経っても、へこたれなかった。ちなみに酒にも滅法弱かった。
体調を崩すまでの間、馴染もうと努力はしていた。
イライダ自身はそういう時、誰に対して何を言うでもなかった。
娘で手一杯だったともいう。
どうしてわざわざ此処に来たのか。メーフィエに尋ねた人がいたら、彼は笑ってこう答えていた。
「イライダの育った所だから、過ごしやすいだろうと思って」
彼の口から、親の話や兄弟の話が語られることはなかった]