[そして子守唄が紡がれるのに重ねるように、低い詠唱が響く]
『我が手に宿るは力の鍵 我が内なる無限の鍵は
幻惑の扉を閉ざし 真なる魂の扉を開く
無辜の魂を歪めし種子よ 闇の扉よりその姿を現せ』
[学長が嵌めた指輪の青の石が詠唱に応じて強い輝きを宿す。その光に軽く口づけてから、骨ばった細い指が掠めるようにティルとクロエの頭に触れると…]
「ぽぽーん」
[弾ける光と共に空中に現れたのは、親指の先程の大きさの、黒いふわふわ…に細い針のような手足っぽいものが生えた「種子」]
『ふむ、恐らくふわふわにまぎれていたんですねえ』
[ちたぱた暴れる二つの魔力の種子を、恐れ気もなく両手で掴み取ると、学長はもぎゅ、っと手の中でそれを押しつぶす]