― 二階/リディヤの部屋 ―
[白いシーツが掛かっている意図は、メーフィエにも察せられる。
それでも。一度、目を伏せて――そうしているうちに、キリル>>137がシーツを捲り上げていた。
そのことに再び瞬きつつも、
裂かれた首許、裂かれた胸元。
その上に載せられた、血色に染まった真紅の薔薇は、まるで死者に手向けられたそれのように見えた。
サーシャ>>135からの問い掛けと、真紅の薔薇の存在を聞きながら。]
…………まだ見ては、いないです。
そう、ですか。アナスタシアさんのところにも、同じ薔薇が。
まるで、お供えみたいにも、見えるけど――。
『鬼』になった人でも、そういうこと、するのかな。
[視線は遺体の胸元に落としたまま、ぽつりと答え。
それから、自分なりに感じられた推測を、付け加えた。]