―書庫―
[一階の奥の重い扉を押し開ける。途端に漂う埃の臭いに口を片手で覆い、少し咳き込んだ。
薄暗い書庫の中はそれなりに広いが、本棚が幾つも置かれている為に狭くすら見える]
本当、よく集めたものだよ。
[誰かの台詞をなぞる口調は呆れ混じりだったけれども、表情は穏やかなもの。
幼い頃から本に触れる機会は多かった。他者に名乗る“物書き”の肩書きは嘘だけれども、一時は本当にそれを目指していたこともあった。諦めるのも早かったが。
部屋の中に身体を滑り込ませる。他に人の気配がないと判断し、息を吐いた]
……さて、それっぽい“資料”でも探すとしよう。
[そう言って、まずは近場の本の一つに手を伸ばす**]